Thursday, December 18, 2014

Power Boy

ちからたろう Chikaratarou 
Power Boy 

ISBN4-591-03714-2 C8739 P1000E 

Translation by Tom Ray and Atsushi Shimojima (ashimoji@mic.atr.co.jp) ちからたろう Chikaratarou 

page 2 

むかし ある ところ に、 おふろ の だいきらい な おじいさん と 
おばあさん が いました。 
一(いち)年(ねん) じゅう おふろ に はいら ない の です から、 あか だらけ。 
からだ を こする と、 ぽろぽろ きのこ の よう に あか が 
おちて きました。 

-- 

むかし ある ところ に、 
Long ago in some place, 

おふろ の だいきらい な おじいさん と おばあさん が いました。 
there was an old man and an old woman who hated bathing. 

一(いち)年(ねん) じゅう おふろ に はいら ない の です から、 
All year they never entered the bath, so 

あか だらけ。 
they were covered with filth. 

からだ を こする と、 
When they rubbed their bodies, 

ぽろぽろ きのこ の よう に あか が おちて きました。 
poroporo, dirt dropped off just like mushrooms. 

-- 

じゅう = all 
あか、垢 = dirt, filth, grime 
だらけ = full of, covered with 
こする、こすります、こすって = rub 
ぽろぽろ = sound of something small falling 
きのこ = mushroom 
の よう に = just like ... 
おちる、おちます、おちて、落ちる = fall, drop 

page 3 

「ばあさん や。 この あか で 
にんぎょう を つくって みんべえ。」 
子ども の いない ふたり は、 
あか を かきあつめて おいて、 にんぎょう を 
つくりました。 

-- 

「ばあさん や。 
"Old woman. 

この あか で にんぎょう を つくって みんべえ。」 
Let's try and make a doll from this dirt." 

子ども の いない ふたり は、 
The childless couple, 

あか を かきあつめて おいて、 
scraped up the dirt, and 

にんぎょう を つくりました。 
made a doll. 

-- 

かきあつめる、かきあつめます、かきあつめて、かき集める = scrape up together 
おく、おきます、おいて、置く = keep 

page 4 

「まっくろ だが、 かわいい 子 が 
できた な。 あか で つくった んだ から、 
あかたろう と 名(な) を つける べえ。」 
おじいさん と おばあさん は、 
おおよろこび です。 にんぎょう の 
あかたろう を、 子もりかご の えじこ に 
いれて、 ほんとう の 子ども の ように 
そだてました。 

-- 

「まっくろ だが、 かわいい 子 が できた な。 
"Although he is very dark, we made a cute child. 

あか で つくった んだ から、 
Because we made him from dirt, 

あかたろう と 名(な) を つける べえ。」 
let's name him Akatarou." 

おじいさん と おばあさん は、 おおよろこび です。 
The old man and old woman were very happy. 

にんぎょう の あかたろう を、 子もりかご の えじこ に いれて、 
They put the Akatarou doll into a cradle, and 

ほんとう の 子ども の ように そだてました。 
raised him just like a real child. 

-- 

まっくろ = very black 
だが = although 
できる、できます、できて、出来る = be made of, grow 
子もりかご = cradle (noun) 
えじこ = (archaic) 
いれる、いれます、いれて、入れる = put in 
そだてる、そだてます、そだてて、育てる = raise 

page 5 

おばあさん が ちゃわん に ごはん を 
いれて さしだす と、 あかたろう は 手 を 
のばして、 ぱくり と ひとくち で 
たべて しまいました。 
「あれ、 この 子 は ごはん を 
たべます よ。」 
おじいさん と おばあさん は 
びっくり して しまいました。 

-- 

おばあさん が ちゃわん に ごはん を いれて さしだす と、 
When the old woman put rice in a bowl and held it out, 

あかたろう は 手 を のばして、 
Akatarou reached out his hand, and 

ぱくり と ひとくち で たべて しまいました。 
pakuri, ate it with a single bite. 

「あれ、 この 子 は ごはん を たべます よ。」 
"Wow, this child eats!" 

おじいさん と おばあさん は びっくり して しまいました。 
The old man and old woman were completely surprised. 

-- 

ちゃわん = bowl 
さしだす、さしだします、さしだして、差し出す = present, hold out 
のばす、のばします、のばして、延ばす = extend 
ぱくり = sound of biting 
ひとくち で = with one bite 

page 6 

あかたろう は、 ごはん を 十(じっ)ぱい たべれば、 
十ぱい だけ 大きく なりました。 
二十ぱい たべれば、 二十ぱい だけ 
ずずん と からだ が 大きく なって、 
たちあがりました。 そして、 
「じさま。 おら に 百(ひゃっ)かんめ の 
てつ の ぼう、 つくって くれろ。」 
と、 はじめて くち を ひらきました。 
「そんな おもい もの、 
どう するん じゃ。」 
「つえ に する んじゃ。 はやく 
つくって くれろ。」 
あかたろう が なおも いう ので、 
おじいさん は 村(むら) の かじや へ、 
とんで いきました。 

-- 

あかたろう は、 ごはん を 十(じっ)ぱい たべれば、 
十ぱい だけ 大きく なりました。 
If Akatarou ate ten cups, he grew ten cups. 

二十ぱい たべれば、 
When he ate twenty cups, 

二十ぱい だけ ずずん と からだ が 大きく なって、 
his body, zuzun, grew twenty cups, and then 

たちあがりました。 
he stood up. 

そして、 
And then, 

「じさま。 
"Grandfather, 

おら に 百(ひゃっ)かんめ の てつ の ぼう、 つくって くれろ。」 
please make me an iron rod weighing 100 kanme (weight units)." 

と、 はじめて くち を ひらきました。 
he said, the first time he opened his mouth. 

「そんな おもい もの、 どう するん じゃ。」 
"What will you do with such a heavy thing?" 

「つえ に する んじゃ。 
"I will make it my walking stick. 

はやく つくって くれろ。」 
Please make it quickly." 

あかたろう が なおも いう ので、 
Because Akatarou asked again, 

おじいさん は 村(むら) の かじや へ、 
とんで いきました。 
the old man went flying to the ironsmith in town. 

-- 

たちあがる、たちあがります、たちあがって、立ち上がる = stand up 
ずずん = the sound of a heavy thing doing something 
かんめ = a unit of weight 
てつ、鉄 = iron 
ぼう = rod 
ひらく、ひらきます、ひらいて、開く = open 
つえ、杖 = walking stick 
なおも = again (adverb) 
ので = because 
かじや = ironsmith 

page 9 

百かんめ の てつ の ぼう が 
できて くる と、 あかたろう は 
うれしそう に かた手 で もちあげて、 
どしん と じめん を たたきました。 
すると、 おじいさん と 
おばあさん は、 かえる の ように 
ぴょん と とびあがって、 
しりもち を ついて しまいました。 
「なんと いう ちからもち じゃ。 
きょう から 名まえ を かえよう。 
お、 お、 おまえ は 日本一(にっぽんいち) の 
ちからたろう じゃーー」 
おじいさん は いき を 
のみ ながら いいました が、 
ふしぎな こと に、 ちからたろう の 
せ が ずずずん と のびて、 
二(に)メートル に も なって いました。 

-- 

百かんめ の てつ の ぼう が でき

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